冬場の腰痛と東洋医学

体の仕組み

皆さんこんにちは!鍼灸師オサダです。

今回は冬場に増えるお悩みの一つとして「腰痛」についてお話ししていきたいと思います。

実は僕も中学生の頃に腰椎分離症(すべり症も併発)という成長期に多い”腰の疲労骨折”を経験していますので冬場は気をつけないと体に力が入って腰が痛くなることが増えます。

ここ数日は冬も本番を迎え寒さがキツくなってきましたよね!


それに合わせてギックリ腰や腰痛に関するお問い合わせが増えたため、腰痛を東洋医学の視点を中心に現代医学(運動学)の視点を合わせて「冬の腰痛」を考察していきたいと思います。

冬の腰痛の原因

冬は寒くて体に力が入りやすくなります。体に力が入るということは筋肉の緊張が生まれ正しい動きが行えなくなります。

筋肉では緊張すれば代謝産物(老廃物など)も循環しにくくなり、筋肉内の血流も低下するため痛みを発生させる可能性が大きくなります。

純粋にこれでも痛みは起きやすくなることが想像されますが今回はもう少し深掘りをしていきたいと思います。

冬と腎と腰

↑これだけでは何が言いたいのかさっぱりな方も多いと思います。
東洋医学の観点から考えるとこの三つのワードは非常に関係の深い臓器となっています。

東洋医学では”五臓”というものが存在します。

五臓というのは
“肝心脾肺腎”
という人体の五つの臓器のことを指しています。

そもそも五臓に関しては”五行”というものが存在していて、人間も自然の一部であり、人体の働きを五行にあてはめ、5つに分けたもののことです。
その中に五臓があり順番に肝心脾肺腎となります。

こんなものがあります↓

これは一部!

この五行説からみていただけると
腎と冬の関係が見えてくると思いますが、では腰は?というところですね!

腰は腎の府と呼ばれ、腎の状態が腰に影響されます。

つまり五行の表で表した様に五臓では腎が配当され、五季では冬が配当され、腎の府として腰が配当されています。

言い換えれば冬こそ腎の季節とも言えますが、その寒さは腎を害する可能性(東洋医学でいう外邪)を持っており、冷えは腎に影響をもたらします。

体が冷えるとお手洗いが近くなったりもしますよね!それは水分代謝に関係の深い腎の一つの症状とも言えます。

ちなみに現代医学で考える臓器とは少し働き等は異なりますが、大まか働きや位置は一致していて、臓器というよりも他の臓器との働きを含めたもののイメージの方がしっくり来ます。


例)肺
現代医学で考える肺→呼吸器(←解剖学的表現)
東洋医学で考える肺→息を吸いそれを体の内部に取り込む。呼吸を通じて水分調整を行っているなど

これらは表現の違いなだけで現代医学の観点から見てももちろん代謝に関与していますし、当時は生理学、解剖学という様な区分けがなかった分東洋医学(中医学)として一つにまとめられていたが故の表現だと思っています。

とは言えこれだけではなんとなく東洋医学の表現に過ぎずイメージしにくい気がしたので、私なりに現代医学(解剖学や運動学)と照らし合わせて冬の腰痛を考えて見ました。

東洋医学における腎の働き

さらっと復習ですが東洋医学において腎は水分代謝、成長、生殖などと関係があります。

そしてここでもう一つ大切な所は呼吸に関係のある臓器ということです。

呼吸という点において解剖学的に考えても全く関係のない話ではないと思っています。

理由としては腎臓と横隔膜は腎筋膜を介して繋がっており呼吸とともに腎臓は上下に動くことがわかっています。

横隔膜は上下に動くことで肺にスペースを設け呼吸を完成させます。

横隔膜の上下動はZOA(Zone of apposition)と言って胸郭のスペースに左右されます。

腎臓は呼吸とともに上下に動き、それは深く関係している様に思えます。

東洋医学の書籍等には息を吸い込む事に関与するとの記載がありますが、腎は機能的に考えても溜め込む、蓄えるという働きを持っていることから吸った息を体内に留める働きを持っています。

これは体幹の安定に非常に似ている事だと思います。

重心を安定させる時にこの様なイラストを見ると分かりやすく重心は体の中心部に近ければ安定しやすくなります。

呼吸についてさらに知りたい方はこちら


考え方次第では息を体内の代謝産物を吐き出しにがら横隔膜が動き、肋骨を引き締める事で体幹は安定し(肋骨が引き下がり、胸郭の空気圧の変化による)新鮮な空気を体内に納めることができます。

汚いものが吐き出せなければ綺麗な物を取り込めないということです。

こう言った面からも経験医学として作られた東洋医学は非常に興味深い学問だと思います。

東洋医学で考える腰痛

ここでもう一度これについての考察です。

腎の府と呼ばれる腰は腎の異常によって腰痛を引き起こす可能性があります。

東洋医学で考える腎の腰痛の例としては

一つ目は「腎陰虚(じんいんきょ)」証。

成長・発育・生殖ならびに水液、そして骨をつかさどる五臓の腎において陰液が不足している体質です。陰液とは、人体のうち、血(けつ)・津液(しんえき)・精を指しています。加齢や過労、不規則な生活、大病や慢性的な体調不良などにより、腎の精気が減って「腎の府」である腰を十分に養うことができず、腰痛が生じていると考えます。

 二つ目は「腎陽虚(じんようきょ)」証です。
腎陰虚と異なり、腎の陽気が不足している体質です。陽気とは気のことで、人体の構成成分を陰陽に分けて考える場合、陰液と対比させ他ときに陽気と呼びます。体の機能が衰えて冷えが生じ、腰痛が発生します。


腎以外にも腰痛は引き起こしますがその例は「肝鬱気帯」体の諸機能を調節(疏泄作用:そせつ)する臓腑である五臓の肝の気が滞っている体質のことを指します。ストレスや緊張が持続すると、この証が見られます。肝気の流れの悪化の影響が、肝と関係が強い腎(もしくは循環に関係のある腎)に及び、腰痛が生じます。

これらをまとめれば様々な面から考えはいますが、東洋医学において腰痛は水分代謝との関係が深く原因は「血流障害」か「水分の代謝の問題」か「緊張による滞り」などによって腰痛が起きている様に感じます。

これは現代医学においても似ている所があり、「痛み」を生むのには血流の問題や水分量(代謝を含む)も関係していると思います。

そして運動学の視点からも呼吸(吸った息を)を納めるという表現は難しいく感じますが、呼吸運動として考えると横隔膜の働きは欠かせません。それに付着する腎臓は少なからず何かしらの影響があると考えても不思議ではないと思います。

今年の冬は寒いみたいですから体を冷やさないという対策は非常に重要なポイントになると思います。

最後に体を冷やさないためのコツ(つぼ)を紹介したいと思います。

・気海

・腎兪

・足三里

・大椎

そして寒邪の入り口である大椎を冷やさないことが重要です。

これらのツボを使ってみてはどうでしょうか?

ここ最近タイムリーな話ではありますが耳鳴りを訴える患者さんがここ二週間でかなり増えました。
(2022年12月)

腎は耳に開竅します。東洋医学では腎精不足でも耳鳴りがおきますので、可能性として冬に耳鳴りを発症する方は寒さによる循環低下から耳鳴りを発症しているかもしれませんね!

今回はここまでとします。

僕の思考を含みますが、寒さが体の不調につながることはわかると思います!

みなさん気をつけてくださいね!
鍼治療ももちろん効果もありますので施術のご希望や相談等も気軽に公式ラインからお問い合わせください!

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