仕事に追われることなく、自然に目が覚めた休日の朝。
キッチンでトーストを焼くと、香ばしい匂いが部屋に広がります。
いつもは時間に追われているけれど、今日だけは少し余裕があって、コーヒーを淹れたり、紅茶を選んだり。
この香りを「不快だ」と感じる人は、きっと多くないはずです。
むしろ、こんな朝は心地よくて、「今日はいい1日になりそうだな」なんて思えたりもします。

それが最近ではどうでしょう。
「小麦は身体に悪い」
「パンに含まれるグルテンは避けた方がいい」
こんな素敵な朝をまるでぶち壊すかのような情報です。
これまで美味しくパンやパスタ、うどんを食べてきて、特に問題を感じたことはなかった。
だから、この情報は嘘であってほしい。いや、嘘であるべきだ。
そんな心の声をいったん閉まって、小麦製品はなぜここまで「身体に悪い」と言われるようになったのか。

感情ではなく、身体の仕組みという視点から、一度整理してみようと思います。
ということで今回は、
「小麦が体に悪いと言われる背景を、身体の仕組みから整理してみた」
というテーマで、「なぜそう言われるのか」そして「だったら、どう考えればいいのか」についてお話ししていきます。
小麦は本当に身体に悪いのか?
まずは、ここまでの茶番にお付き合いいただきありがとうございます。
最近はどうやらAIというものが発達してきたらしく、ただ情報を並べるだけでは味気ないなと思い、冒頭に思いを書いてみました。
さて、本題です。
「小麦は本当に身体に悪いのか?」

情報が溢れる社会を生きる上では、結論だけの切り取りではなくなぜなのかを考えていきましょう!
まずは結論!
(正確には、私なりの解釈になります。)
Q.小麦は身体に悪いのか?
A.条件付きでYES、条件付きでNO
曖昧な答えに聞こえるかもしれません。
ですがこれは、小麦そのものの特徴に加えて、個人差が非常に大きいという現実があるため、
どうしても言い切れない部分があるからです。
だから一概に「身体に悪い」「身体に害なし」とは判断ができません。
裏を返せば、この「条件」を理解することで、小麦と上手に付き合っていくことも可能だと考えられます。
ではまず、そもそも小麦とは何なのか。ここから整理していきましょう。
小麦ってなんなの?
パン、パスタ、うどん、ラーメン、お菓子。日常の中で、意識せずに口にしている場面も多いと思います。
要するに小麦は、私たちの食生活に根付いている穀物のひとつです。
栄養学的に見ると、小麦は主に
- 炭水化物(でんぷん)
- タンパク質
から構成されています。
この中で、今回のテーマに深く関わってくるのが小麦に含まれるタンパク質です。
小麦に含まれるタンパク質は「グリアジン」と「グルテニン」
この2つが水分と混じり合うことで弾力のある『グルテン』となりパンの膨らみや麺のコシを生み出します。
このグルテンの量や性質(タンパク質量)によって、食品の食感などを左右する重要な成分です。
あぁ、だからパンはふっくらして美味しいのか。
ありがとう、グルテン。

冗談はさておき、身体にとって良い事ばかりではありません。
グルテンもタンパク質という所を切り取ると、急に親近感が湧くと思います。
現代人はタンパク質不足だ!とも言われており、高タンパクの食事を推奨されるくらいですから。
ここを理解するために、タンパク質の代表例として鶏むね肉と比較してみましょう。
鶏むね肉に含まれるタンパク質は、主に筋肉を構成するタンパク質です。
代表的なものとしては、
・ミオシン
・アクチン
・トロポミオシン
・トロポニン
といった、いわゆる筋原線維タンパク質が中心になります。
これらは、人の身体にとって比較的なじみのあるタンパク質で、胃や小腸で分泌される消化酵素によって分解されやすいという特徴があります。
実際、鶏むね肉は医療やスポーツの現場でも、消化吸収が安定しているタンパク源としてよく使われています。

ここで大切なのは、身体が処理しやすい構造をしているという点です。
そのため消化の過程で無理なく細かく分解され、最終的にはアミノ酸として身体に取り込まれていきます。
一方でグルテンも同じ“タンパク質”ではありますが、身体にとっては少し分解されにくい性質を持っています。
グルテンは先ほど紹介したように「グリアジン」と「グルテニン」というタンパク質が結びついた構造をしており、人の消化酵素では細かく分解されにくい特徴を持っています。
この違いが、人によっては「消化の負担」や「腸への刺激」として感じられる理由につながっていきます。
ところでその腸はどんな臓器なのだろうか?
腸の表面積はテニスコート一枚分の大きさを持っている。
嘘だと思いますよね。
腸ですよ?
お腹の中にある腸ですよ?
テニスコート1枚分って、そんなアホな‥。
僕が最初に腸について勉強したときはこう言われていました。
そしたら割と最近の研究でやっぱり誤りがあったという事がわかったみたいです。
ではどのくらいだと思います?
腸の表面積ですよ?
※1回考えてみてくださいね。
2014年にスウェーデンのイェーテボリ大学の研究チームが発表したデータによると、『ワンルームマンション(約30㎡)』くらいの大きさだったと訂正されたみたいです。
とはいえ普通にかなり大きくないですか?
30㎡(30平方メートル)って畳に直すと18畳くらいあるみたいです。

お腹の中に18畳ですよ?とんでもない大きさです。
で、本題の腸がどんな臓器かって話ですけど大きくまとめると
①消化の中心
②外界との境界線としての監視役(免疫・バリア)
この2つの働きをっています。
①は口では主に咀嚼による分解、胃では胃酸による消化、小腸で吸収、大腸で排便といった流れになります。
②は免疫としてまとめられる事も多いと思いますが、なんとなくしっくりこなかったのでこんな書き方とさせていただきました。
確かに免疫細胞の7割が腸内に存在しているとは言われますが、だからと言って腸内だけで全身の免疫が決まるわけでなく存在場所が腸内に多いだけというか、ここで言う免疫はいわゆる風邪を引くといったような免疫とは異なって、どちらかといえば口から続く「粘膜」が、外の世界(食べ物や細菌)とどう接するかという「境界線としての管理能力」と言うイメージです。
そういった意味で監視役がしっくりくるかと思っています。
ワンルーム程の大きな表面積を生かして「身体に必要なもの」と「不要なもの」を選択しています。
表面積が多いと言うことはそれだけ腸の粘膜に触れる機会が増える=チェックポイントが多いため、わずかな栄養も逃さず体内に取り込んだり、排除したりしています。
この腸の内側はツルッとした筒ではなく、カーテンのように波を打つヒダ状の構造をしています。
そのヒダの上には絨毛(じゅうもう)と呼ばれる細かな突起が並び、さらにその表面には腸管上皮細胞がびっしりと一列に並んでいます。

少し細かい話になってしまいましたが、この腸管上皮細胞をつなぎ合わせているのがタイトジャンクションという“つなぎ目の構造”です。
このタイトジャンクションというつなぎ目は、腸という境界線の一部として、細胞と細胞の間の通し方を微妙に調整しています。
簡単にいえばこのつなぎ目がしっかりしていれば物質は通りにくく、ゆるむと通りやすくなります。
これを透過性といいます。
つまりこのタイトジャンクションも監視役の一役を担っているという事が言えると思います。
じゃあこのタイトジャンクションは何によって調整されているのかって話になってきますよね。
これは一言で〇〇!と言うよりもあえて腸のコンディションとして進めていきましょう。
腸のコンディションは何で変わるのか
さぁここまでくればもしかしてこのタイトジャンクションに小麦(グルテン)が関わるんじゃないか?と思った人もいるのではないでしょうか?
まさしく。
このタイトジャンクションを緩めるとか壊す、代表例として小麦(グルテン)が注目を浴びています。
ただしこの腸のコンディションの全てを小麦(グルテン)が決めているわけではありません。
では改めて腸のコンディションは何によって左右されるのか?を考えてみます。
ここでは分かりやすく「外的刺激」「内的環境」「生活習慣」という3つの視点から整理してみましょう。
腸のコンディションを左右する要因〜外的刺激〜
ここで言う外的刺激は身体の外から入ってくるものです。
・小麦やアルコールなど、日々の食事として腸に入ってくるもの
・食べる量やタイミングなど、日常の中での食べ方や食事のリズム
・薬など、毎日ではなくても身体に取り込まれるもの
・忙しさの中で増えがちな加工食品や添加物 など
腸は身体の中にありながら、外の世界と直接触れている場所でもあります。
だからこそ、何を口にするかは腸のコンディションにも関わってきます。
ただし、特定の食品だけが一方的に腸壁を壊すという単純な話ではなく、体質やその時の身体の状態によって受け取り方が変わる部分でもあります。

腸のコンディションを左右する要因〜内的環境〜
外から入ってくるものだけでなく、身体の内側の状態もまた、腸のコンディションに大きく関わっています。
・腸内細菌のバランス
・炎症反応の状態
・自律神経の働き
・ホルモン分泌など、身体のリズム
同じ食事をしていても、ある日は調子が良く、別の日にはなんとなく重く感じる。
そんな経験がある人も多いのではないでしょうか。
それは、外から入ってくるものが変わったというよりも、そのときの身体の内側の状態が影響していることも少なくありません。
腸はただ食べ物を処理する場所でもなければ、私たちの意思だけで働きをコントロールできる場所でもありません。
身体の環境に合わせて、その時々の状態が映し出される、いわば、身体全体のコンディションが現れる場所とも言えます。
だからこそ、食べ物だけに注目するのではなく、
身体の内側で何が起きているのかという視点も忘れずにいたいところです。

生活習慣
外から入ってくるものや、身体の内側の状態の土台となるのがこの生活習慣の部分と言えると思います。
言ってみれば外的刺激も内的環境もこの生活習慣に含まれますのでいわば腸のコンディションを決める土台といっても過言ではないでしょう。
ここで言う生活習慣とは、特別なことではなく、
・睡眠のリズム
・ストレスとの向き合い方
・食事の時間帯や生活のペース
・身体を動かす機会 など
日常の中で繰り返されているものです。
研究レベルでは、慢性的なストレス反応や睡眠不足などが、炎症反応や神経系の働きを通して腸のバリア機能に影響する可能性も示唆されています。
ただし、これらが直接タイトジャンクションを「壊す」という単純な話ではなく、身体にとっての反応、つまり各種ストレスや環境要因によってその影響が腸という場所に現れることもあると言うことです。
だからこそ、特定の食品だけを避けるという視点だけでなく、
生活全体のリズムの中で腸のコンディションを見ていくことも、ひとつの考え方として大切になってきます。

腸の問題を一言で言うのは難しい事が理解できてきたかと思います。
では、ここでもう一度小麦の話に戻して、なぜここまで腸と小麦をセットで話される事が多いのかを整理していきましょう。
なぜ「小麦=身体に悪い」と言われるようになったのか
小麦が“悪者”にされる背景のひとつとして挙げられるのが、「ゾヌリン」という物質の研究です。
ゾヌリンは、腸管上皮細胞同士のつなぎ目であるタイトジャンクションの透過性に関わるとされるタンパク質で、特にセリアック病の研究の中で注目されてきました。
一部の研究では、小麦に含まれるグルテンがゾヌリンの分泌に関与する可能性が示唆され、腸の透過性との関連が議論されるようになりました。
そこから
小麦(グルテン)→タイトジャンクションの変化→小麦=危険
という解釈が広がっていった背景があります。
これ自体、完全な間違いとは言えないものの、現在も研究が続いている分野であることは忘れずにいたいところです。
ただし、ここにはもうひとつ見逃せない背景があります。
それが、私たちの食生活そのものの変化です。
パンやパスタ、加工食品など、小麦を含む食品は日常の中で手軽に取り入れやすくなりました。
食べる頻度や量が増えたことで、身体の悩みとして表面化しやすくなった側面もあるのかもしれません。
食べ方や生活背景が変わる中で、腸のコンディションに影響を与える要素が増えてきた。
そこに、個人差はあるもののグルテンとタイトジャンクションとの関連が研究の中で語られるようになり、結果として小麦が注目されるようになった。そんな流れも考えられます。
まとめ〜小麦とうまく付き合っていくために〜
ここまで、小麦と腸の関係について、身体の仕組みという視点から整理してきました。
結局のところ、小麦そのものが絶対に悪いという単純な話ではなく、
外から入ってくるもの、身体の内側の状態、そして日々の生活習慣――
そうしたいくつもの要素が重なり合う中で、腸のコンディションが作られているのだと思います。
だからこそ、「小麦は危険だから絶対に避けるべき」と決めつける必要もなければ、
逆に「まったく気にしなくていい」と言い切れるものでもありません。
もし、食事の中心が小麦製品になっていて、なんとなく体調の変化を感じているのであれば、
一度だけ少し距離を置いてみる、そんな付き合い方もひとつの選択かもしれません。
それは小麦を否定するというよりも、いまの身体の状態を知るための、小さな“検証”のようなものです。
大切なのは、何かひとつを悪者にすることではなく、
自分の身体がどんな環境で心地よく働けるのかを、少しずつ見つけていくこと。

パンの香りが心地よい朝も、身体が少し重たく感じる日も、
どちらも自分の身体からの大切なサインなのかもしれません。
小麦とどう付き合うかの答えは、きっとひとつではなく、それぞれの生活の中にあるのだと思います。
健康情報があふれる時代だからこそ、知識だけでなく、自分の身体がどう感じているのかという感覚も大切にしていきたいですね。
情報と感覚、その両方をヒントにしながら、自分なりの心地よい選択が見つかればと思います。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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