皆さんこんにちは!
鍼灸師オサダです。
今回は「身体の機能を高めるために必要な事」としてパフォーマンスピラミッドについてお話ししていきたいと思います。
なかなか聞きなれない言葉かもしれません。
パフォーマンスピラミッドは主にアスリートやスポーツの現場で使われる事が多いのですが、これは身体の機能を高めていく上で非常に重要な考えになるので、スポーツをしていない方にも知ってほしい考え方になります。
このブログがおすすめの方
・子供のスポーツ教育に悩んでいる
・運動機能を高めたい
・慢性的な不調(肉体的な不調:肩こり、腰痛など)がある
・運動を始めたいが何から始めたらいいか悩んでいる
こんな方にはぜひおすすめの記事です。
ぜひ最後までご覧ください。
パフォーマンスピラミッドとは?
一言で言えば、トレーニングの理想的な順番をピラミッド型に表したものになります。
いくつかありますが今回はパフォーマンスという点において自分の大切にしている点がわかりやすく4つに分類されているピラミッドの一つを紹介します。
この画像のように
基礎(Position):姿勢、基本的な動き、関節の安定性、可動性など
動き(Movement):動作、身体の連動した動き、動き方など
筋力(Power):動きを強化するための筋力やスピードなど
技術(Skill):競技に特化した動きなど
となっています。
これだけを見てもなかなかイメージが湧かないと思いますので、細かく説明していきます。
パフォーマンスピラミッドの土台:基礎
まずはここから説明していきます。
このパフォーマンスピラミッドの基礎は英語では”Position”と言われます。
これはどの方にも必要な最初のステップになります。
今回は話が飛躍しすぎても分かりにくいので”動作”の部分でお話をしていますがここにはもっと動物的な要素が含まれます。
呼吸がしっかりできているか?睡眠不足はないか?栄養に偏りはないか?身体の緊張度はどうか?というような『動作を行う前の状態やその姿勢』(この場合の姿勢は状態も含む)もすごく重要です。
トップアスリートも日常生活に力を入れるのはこの部分に大きく関わってくるからです。
話が広がりすぎるので今回は動作の部分に着目していきます。
まずはわかりやすい姿勢から。
正しい姿勢が身体の基本
この姿勢が良い姿勢、この姿勢は悪い姿勢と言ったようにネットなどでも色々目にすることはあると思います。
厳密にいえば”正しい姿勢”の定義って難しいと思いますが、一般的にはゴールデンラインと呼ばれる「耳、肩、股関節、膝、外くるぶしが一直線」にあるのが良い姿勢として最も有名だと思います。
これもただ一直線になっていれば問題がないか?と言われればそれも少し違う気がします。
私たちが動作という中で求められている事は簡単にいうと「可動」と「安定」の2つです。
どこかが動いている時(可動)には、どこかは身体をコントロール(安定もしくは制御)して動作が完成しています。
で、姿勢というのはその時々に応じて反応する事が求められたりするので、このゴールデンラインが整っていれば問題はないのか?というとそうではありません。
ただ「姿勢を見ましょう」となった場合には、まっすぐ立っている姿勢を評価する事が多いので、この条件下においては、耳、肩、股関節、膝、外くるぶしが一直線にあるという事が身体への負荷が適正化された状態、つまり関節がニュートラルで筋肉も過剰に使う事なく”立つ”という一つの姿勢を保てている事になります。
反対にこのラインからずれてしまっているという事は”どこかに負担がかかっている”可能性が高いという事でもあるのでこの姿勢を一つの基準となっています。
基本的な動き
姿勢に加えて「基本的な動き」もパフォーマンスピラミッドの土台に考えられています。
先ほど話した姿勢と重なる所もありますがやっぱり身体の基本が重要です。
例えばよく患者さんからも筋トレした方がいいよね?という話になりますが、その動かし方が間違っていると鍛えたい場所も上手く鍛える事ができません。
足腰を強くしたいと思ってスクワットをするとしましょう。
この時に運動の軸が極端にずれてスクワットをしてしまったら、そのトレーニングの効果は減ってしまう上に身体にとってよくない負荷になるかもしれませんよね。
だから解剖学や運動学の中で基本的な動きが正しく行えるかが重要になります。
その上で期待したい効果などに合わせて負荷を強くしたり、応用を効かせて行くことでより効果的なトレーニングとなっていきます。
もちろんこれは怪我予防、慢性痛においても重要なポイントです。
パフォーマンスピラミッドの下から二つ目:動き
この動きのフェーズは英語では”Movement”と言われます。
先ほどの土台となる基礎では”基本的な動き”が出来ているか?とお話ししましたが、それに合わせてこのフェーズでは「機能的な動き」と言うのが求められてきます。
そもそも動作というのは単純な一つの関節で動きで起きるわけではありません。
複合的に合わさって行われるので、各関節の動きが正しく行える上で他の関節と上手く連動して動いているか?動作のサポートが出来ているか?動作の邪魔になっていないか?このようにみていくことが大切です。
ここは負荷をかけない状態の動き→重力などの負荷がかかった時→負荷や重みと言ったストレスがかかった時で強度を上げていきます。
そしてその先がピラミッドの三つ目のパワー(筋力)になります。
パフォーマンスピラミッドの下から三つ目:筋力
英語で言うと”Power”です。
この辺から皆さんのイメージする「トレーニング」や「筋トレ」のイメージがだいぶ出てくると思います。
仮にスポーツで競うとして、正しい動きを出来ていても、筋力が極端になければ残念ながら負けてしまいます。
子供対大人で柔道などをしたら、仮に大人が柔道経験がなくてもその力やスピードでそう簡単には投げられたりしないと思います。
アスリートもオフシーズンになったりするとトレーニングメニューを増やしたりします。
それは競技のためにシーズン中はなかなか鍛えられなかった場所を鍛えて来年のシーズンに向けて備えていきます。
もちろんアスリートのような運動をしていなくても筋力は衰えていくので、ある程度の筋力は必ず必要になってきます。
慢性症状がある場合にも生活の中でどこかしらの筋肉は緊張、どこかの筋肉はあまり使われないみたいな偏りが出てくるのでこの辺りもしっかり考えていきたいところですね。
パフォーマンスピラミッドの頂点:技術
ここは英語で言うと”Skill”です。
ここでやっと技術というのが重視されます。
野球で言えば、投げる、打つ、走るなど。
サッカーで言えば、蹴る、ドリブル、ポジショニングなど。
テニスで言えば、打つ、動きながらコントロールするなど。
技術を磨くことでその競技が上手になっていきます。
一流になればなるほどこの技術力によって勝敗が左右されていき、技術を求められる事が増えていきます。
プロとアマチュアの大きな差の部分だと思います。
このパフォーマンスピラミッドの各フェーズは重なり合っている所もあって綺麗に分かれているわけではないと思いっています。
土台ができたから、次は動きではなく徐々に次のフェーズに入っていくようなイメージです。
パフォーマンスを上げていくためにはどうしたらいいのか?
このピラミッドを知って皆さんはどう考えますか?
仮に子供が何かの競技をやっていて、今必要なのは筋力や技術の部分だと思いますか?
これはその時々で変わっていくものだと思います。
例えば夏場が本番になる競技。
多くの場合が秋から冬にかけてはオフシーズンとなります。
オフシーズンはどの競技でも練習メニューが変わることが多いと思います。
この時にいかに土台を整え、動きを確認し、パワーを身につけ、技術の向上=パフォーマンスの向上を目指せるかが重要になると考えています。
また年齢によっても変わると思います。
その競技を始めたばかりの子がどれだけ技術の部分を練習しても、もちろん競技に絞ってみれば上達はしていくと思いますが「怪我の予防」「身体づくり」「身体の使い方」というような視点では長期的にみるとそれが必ずしも正解とは言えないと思います。
海外では子供の頃、スポーツをシーズンで変えたり、同時にやらせたりするそうです。
競技に絞った練習も悪いとは言いませんが色々な動きの中で獲得していくというのも、成長段階においてはすごく重要な事だと思います。
誰しもが経験してきたパフォーマンスピラミッド
このブログの最後にこんな話をしてみたいと思います。
ここまで読んでくださりありがとうございます。
このブログを読んでいるときに
・私はスポーツしていないから関係ない
・子供もいないし関係ない
・パフォーマンスの向上を目指していない
そう思った方もいるとは思います。
ですが実はこのパフォーマンスピラミッドに近いものを皆さんも経験しています。
それは発達です。
赤ちゃんの時には泣くことが精一杯だった私たちも気がつけば動作を獲得していきます。
仰向けで手や足を動かし、首が座り、寝返りを覚え、支えがなくても座れるようになり、ハイハイ→掴まり立ち→立つ→歩く
実はこのパフォーマンスピラミッドの下から土台を作り、歩くというスキルを身につけていきます。
生まれてから命の終わりを表したこんな図がありますが、人は後に獲得した動作からできなくなっていくと言われたりします。
アスリートに対しても、一般患者さんにとっても必要なトレーニングは筋力やスキルの部分の前に基礎や動きの獲得(ピラミッドでいうした二つ)であったりします。
赤ちゃんが動作を覚えていくように基礎動作の上に筋力を強化して行ったり、その上を目指すならスキルの部分を身につけていくとより身体の機能が高まっていき目指したいところに到達できるかもしれませんね。
私の鍼灸師としての役割はこの下二つをいかに適正化させてあげ、患者さんの健康や目指しているところへの一押しなのかな?と考えたりします。
まとめ
トレーニングとなるとイメージするのは器具を使ったトレーニングや、腕立て、スクワットのような負荷が強いものを想像する方もいると思いますがそれだけではないという事です。
むしろそれよりも大事なことはもっと基本的な動きや生活の中に隠れていて、それらをもう一度考察することがパフォーマンスの向上、ないしは日常生活の不調の改善につながる可能性があります。
このブログを読んでいる方やこのブログを読んだ身の回りの方の何かお役に立てていれば幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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