こんにちは!
鍼灸師オサダです。
今回は産後の骨盤はどのように変化するのか?を考え、骨盤を矯正するよりも大切な考え方をお話ししていきたいと思います。
※この記事は産後の骨盤矯正等の施術を否定するものではありません。身体の構造や運動という視点で産後の身体を考えていきます。
☑️産後必ず骨盤矯正にいかないといけない
☑️骨盤を矯正しないと今の不調が取れない
☑️緩んだ関節は矯正によって戻る
こんな疑問や思いをお持ちの方にとって少しでも参考になればいいと思います!
また僕の考えとして、何年経っても出産を終えた身体は”産後”に変わりはありません。
↑これは妊娠→出産→産後という大きな出来事の中で身体にかかる負荷は想像以上に色々な所に影響している可能性があり、出産から年数が経ってる方にも読んでいただけるとお役に立てるかもしれません。
妊娠中身体に起こる構造的変化
身体の変化は当然ながら妊娠中から起きています。
ここでは2つの変化を挙げていきます。
・関節が緩む
・重心位置が変化していく
・筋肉のバランスの変化
主に構造的に変化が起きるのはこの3つです。
関節が緩む
これはリラキシンやエストロゲンというホルモンによる赤ちゃんのスペース作りと出産をスムーズにするための準備が始まります。
これらのホルモンは諸説ありますが、妊娠初期から分泌が始まり産後1~2ヶ月程で分泌が弱まっていくとされています。
妊娠中に仙腸関節や恥骨結合の部分が痛むのもこの関節の緩みが原因ではないか?とも言われています。
後でも話していきますが
「このホルモンの分泌が減っていく過程で筋肉のアンバランスがあるまま関節の緩みが戻ってしまうと不調につながります!」
みたいな考え方もあるようですが、個人的にはあまりそうは考えていません。
重心位置が変わる
次にこちらですが、お腹の中の赤ちゃんが大きくなっていくのに合わせてお腹も大きくなっていきます。
人の重心がどこにあるか知っていますか?
重心はこの位置にあることで体を安定させています。
反対に重心がこの位置にある時は身体に余計な負荷がかかっていない状態ともいえます。
ですがこのように重心位置が変化していくことで、負荷の掛かる場所や歩行にも影響を及ぼします。
筋肉のバランスの変化
関節の緩みと重心位置の変化が構造的、運動学的な変化をもたらし妊娠中から産後にかけて様々な不調につながっていることが考えられます。
またこの変化に合わせて考えないといけないのは「筋肉のアンバランス」を産んでしまう可能性があるということです。
これまでのブログでも体幹の安定の重要性についてはお話ししていますが、重心位置の変化に伴いインナーユニットの連動性というのも落ちやすくなってしまいます。
患者さんとの会話の中で妊娠中の骨盤は「開く」とか「緩む」という言葉からこんなイメージだった!
とお話しされていた方がいましたが実際にはスペース確保のために開くと言うよりは、傾きによりスペースを確保します。
この状態は例えば腹筋群(インナーマッスルも含む)と背中の筋肉のバランスが崩れていき体幹も偏りのある状態になってしまいます。
また横隔膜はその動きから腹圧のコントロールに役立ち、インナーユニットにスイッチを入れるような働きを持っています。
ですが構造的にその役割が行いにくく、体幹の不安定につながっていきます。
身体に起こるもう一つの変化〜骨盤底筋群の損傷〜
そしてこの変化に合わせてもう一つお話ししたいのが「骨盤底筋群」のお話です。
骨盤底筋群は骨盤の底にあり、内臓を下から支えたり、排尿排便をコントロールする役割を持っています。
そしてこの骨盤底筋群は出産とともに大なり小なり損傷が起きると言われています。
さらに言えば先ほどお話ししたように赤ちゃんのためのスペース確保のために骨盤は傾きますがこの時骨盤底筋群が存在する”坐骨”は離れるような構造になり、ハンモックのように子宮を支えるように骨盤底筋群が伸びた状態になります。
つまり妊娠中から骨盤底筋群は身体を支えるインナーユニットとしての働きが行いにくくなっています。
出産を終えてもこの状態が戻らなければ、骨盤というよりも身体の使い方に変化をもたらし中々不調が改善しない。という事が考えられます。
産後の骨盤をどのように元通りにしていくか?
というわけで産後の骨盤に必要なことは何か?もう一度考えてみたいと思います。
僕自身が考えているのは”機能的な回復”です。
機能的な回復というと少し難しいように聞こえるかもしれませんが、これまで妊娠中→出産→産後という流れで起きる身体の変化をお話ししてきました。
これらを考えた上で、筋肉や身体の働きを回復させていく事が重要だと考えています。
ブログの最初に「このホルモンの分泌が減っていく過程で筋肉のアンバランスがあるまま関節の緩みが戻ってしまうと不調につながります!」という考え方もあるみたいですが‥とお話ししたのは筋肉のアンバランスはある程度仕方ない部分もあると思っていてそれらを使えるような状態にしていく!事が重要なように思います。
これらの機能をなるべく元通りにして、さらに妊娠前の状態よりも良い状態を目指していく事で育児に望んでいくことが大切かと思います。
産後の骨盤で大切な事〜まとめ〜
一言で言えば【腰椎-骨盤・骨盤-仙骨】のコントロールする力を取り戻すことが大切だと思います。
妊娠中に見られる
・腰椎前弯の増強(反りが強くなる)
・仙骨の前弯(うなずき運動)
・坐骨が離れる(出産への準備)
これらによって、体重を受ける【腰椎-骨盤・骨盤-仙骨】が骨盤周囲に普段かからない負荷がかかります。
骨盤というのは上半身の重みを下半身に伝える大事な役割を持っています。
体が機能していれば上半身の重みを下半身へ上手く伝達を行えますがこれまで話したように産後はそう上手くはいきません。
上半身の重みをしっかり受けるには重心位置が元に戻る必要があり、それには筋力(主にインナーマッスルやインナーユニットの働き)もつけていかなければなりません。
ですので施術者側は「産後の骨盤矯正」と言いマニュアル通りに進めるのではなく、患者さんの身体の状態を見ながら必要な事を進めていかないといけない。という事が重要だと思います。
最後になりましたが、産後の骨盤矯正を否定するものではなくご自身でも産後の骨盤の状態を知った上で、気になる方や不調にお悩みの方は施術してくれる所を探してみるのが重要なのかなと思います。
『何年経っても出産を終えた身体は”産後”に変わりはありません。』
と少し嫌な言い方をしてしまいましたが今回お話ししたような機能が戻っていなければそれは改善する必要があるかもしれません。
得にあなたが不調を抱えているなら!
と、ここまでお話しした内容は産後に限らず必要な機能(インナーユニット、骨盤周囲の筋肉のアンバランスの修正など)は取り戻しましょうね!というそんな話でした!
最後までお読みいただきありがとうございました。
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