なぜ人はストレスをコントロールできないのか?

なぜ人はストレスをコントロールできないのか? Uncategorized

こんにちは!オサダです。
皆さんは一度はこんな事を思った事はありませんか?
「ストレスをコントロールできたら、もっと楽に生きられるのに…」
「ストレスを感じないようにすれば、きっと幸せになれる…」

でも正直これって思った通りいかなくないですか?
今回はその理由を僕なり身体の仕組みから掘り下げて考えてみたいと思います。

ストレスをコントロールできるという幻想

少し強い言い方かもしれませんが、僕は「ストレスをコントロールできるものではない」と思っています。

世の中には「ポジティブ思考」「ストレスマネジメント」「ストレスコントロール」といったような言葉があふれています。
一見すると、これらは感情やストレスを自分の意思でコントロールする方法のように思えます。

例えば本来の定義は

  • アンガーマネジメントは怒りを「なくす」のではなく、適切に理解し、表現や行動を整えること。
  • ストレスマネジメントはストレスを「ゼロにする」のではなく、うまく付き合って影響を減らすこと。

と言った定義になっています。

つまり、どちらも「感情やストレスを感じないようにする」ことが目的ではありません。
でも、実際にはこういった言葉は“スイッチのオンオフみたいに感情を操ること”のように誤解されがちです。

実際、感情って「はい、今から怒ります」「じゃあ悲しむのはやめます」と選んで出しているわけではありません。
多くの場合、すでに湧き上がった感情に対して反応しているだけだと思います。
だからこそ、「コントロールしよう」と思った時点で、もう身体の反応は始まってしまってます。

例えば画像のように左側の人のように「もう怒ったぞ!!」という状態や、右側の人のように「今から悲しくなります…」という状態は現実にはなく、怒りや悲しみが芽生えた瞬間、それはすでに身体や言葉に現れていて、後から「コントロールしよう」としても身体の反応は追いつかないものです。

そのため、この“感情が動いた=ストレス”を無理にコントロールしようとすると、
「うまくできない自分が悪い」という自己否定につながってしまう人も少なくないように感じます。

そもそもストレスってなんだっけ?

現代では「ストレス」という言葉を良くも悪くも乱用してしまっている気がします。
例えば「仕事」「人間関係」「環境」など全て、ストレスと言ってしまうとそれまでですよね。

そもそもストレスって何なのでしょうか?

心理学的にストレスは‥

外部からの刺激(ストレッサー)によって
心や体にかかる負荷

この刺激は必ずしも悪いものだけではありません。
例えば大事なプレゼンの前に感じる緊張や、デート前のドキドキ(緊張)も、実はストレスの一種です。

つまり、ストレス自体が「悪」なのではなく
問題は、その負荷が大きすぎたり長く続いたりして、心身にダメージを与えてしまうときに僕たちは「ストレス」と感じます。

必要なのはストレスを排除することではなく、ストレスを受けても身体が回復できる“余白”を保てること、そしてストレスに適応できる力が備わっている状態である事だと思います。

そもそもストレス自体が悪者ではないという事を忘れてはいけません。

ではこの状態ってどうやって作っておくべきなのか?という話ですよね。

その辺も身体の仕組みから考えていきましょう。

ストレスを感じてから身体が受け取るまでの仕組み

ストレスを自覚する前に脳をはじめとした身体が反応する

先ほどの説明のように僕たちが“ストレスだ”と認識するよりも先に、脳や身体はもう反応を始めています。

例えば、嫌なことを言われた瞬間に胸がザワッとしたり、
緊張する場面で無意識に呼吸が浅くなったりする。

あれは決して“自分で選んで”起きている反応ではなく、
脳の深い部分(扁桃体)が先に刺激を受け取り、身体が自動的に動いてしまう反応です。

「ストレスを感じたかどうか」よりも、身体の方が先に動き出してしまう。
だからこそ、“感情をコントロールしよう”と思う時には、すでに身体の始まっていて追いつけない。
それを後々コントロールしようとすると逆にしんどくなる。

そんなことが起きてしまうわけです。

ストレスを感じている人

ストレスがかかってから症状として出るまで

脳がこの刺激は、身体にとって危険だ!と判断するとその情報が自律神経の最高中枢と呼ばれる「視床下部」に伝わり皆さんもご存知の自律神経の交感神経の反応が起きます。

その結果、交感神経の活動のメインは『闘争・逃走反応』と呼ばれ、文字どおり「戦うか逃げるか」の反応になります。

つまり身体の反応として‥

・心拍が上がる
・呼吸が浅く早くなる
・筋肉が硬くなる
・手足の血流が減って冷えやすくなる
・胃腸の働きが落ちる

こうした反応が、
あなたの意思とは無関係に起こります。

そうなると身体の反応から皆さんも自覚する症状として

・心拍が上がる
→ なんとなくソワソワする/落ち着かない/動悸がする
・呼吸が浅く早くなる
→ 呼吸がしづらい/息苦しい/ため息が増える
・筋肉が硬くなる
→ 肩こり・首こり/食いしばり/背中が張る
・手足の血流が減って冷えやすくなる
→ 手足が冷たい/末端だけ冷える/身体がこわばる
・胃腸の働きが落ちる
→ 胃が重い/食欲が落ちる/下痢や便秘が増える

これらは一例で全てがこの原因とは言いませんがこういったものにつながっていくわけです。

ストレスの慢性化が続くと‥?

もちろん、自律神経だけが反応しているわけではありません。
ストレスが続けば続くほど、ホルモンの仕組み(HPA軸) もフル稼働します。
こうした反応が積み重なると、身体は少しずつ疲弊していきます。

HPA軸に関してはこちらのブログで触れているので興味がある方は読んでください!

↑こちらのブログではストレスに対してどんな反応が起きるかを書いてあります。
その一つにHPA軸があります。

すごく簡単にいうとストレスと判断されると、その情報が副腎という臓器まで届き、コルチゾールが分泌されます。
このコルチゾールは抗ストレスホルモンと言ってストレスに対応するホルモンの代表例です。

ストレスが慢性化し、このコルチゾールが分泌され続けていると
・記憶と関与の深い海馬
・物事の判断や解釈などに関与する前頭前野
に影響を及ぼし、記憶力や判断力なども変化していきます。

なぜ人はストレスをコントロールできないのか?

ここまできて、このブログの最初に戻りたいと思います。
ここまで読んで皆さんはどう感じたでしょうか?

「感じてしまったストレスは耐えるしかないのか」
「ストレスをコントロールする事はできないのか」

きっとそう感じてしまったと思います。

でもよく考えてみてください。
あなたが感じているストレスとAさんのストレスって全く同じでしょうか?
もっというと、あなたとAさんが同じ環境にいたとして同じ事をストレスと感じるでしょうか?

これが興味深い所で、慢性的なストレスの多くは人によって度合いも事柄も違うわけで、何をストレスとして感じるかは、その人の経験や感じ方によって異なり身体が表現する反応さえも違うという事です。

同じ出来事でも、人によってストレスの感じ方が違う。
だとしたら、「出来事そのもの」ではなく、それをどう受け取ったか?が鍵になります。
ストレスの本質は外的な刺激に伴う「あなたの内側の意味づけ」によって大きく異なるという事です。

そしてもう一つ大事なのは、この「意味づけ」もまた、身体が受け取った刺激を土台にして作られているということです。

私たちの身体には、常に周りの状況を感じ取りつづけるセンサーのような働きがあります。

姿勢の崩れ、呼吸の浅さ、身体のこわばり、そして光・音・感触・匂いといった五感の情報など

こうした“身体の感覚”をもとに脳は

・これは安全か?
・これは危険か?
・警戒すべきか?

という判断を行い、そこに過去の経験が重なって「意味づけ」がつくられます。

意味づけは“頭だけで生まれている”のではなく、
身体の状態と経験の組み合わせでつくられている
ということです。

だからこそ、

・ボディマッピング(ざっくり言うと“自分の身体の地図=姿勢や身体の位置感覚”だと考えてください)
・呼吸
・身体感覚
・五感の刺激
・疲労度など

こうした“身体の土台”が整うと同じ出来事でもストレスとして感じにくくなり、
意味づけそのものがやさしく書き換わっていく可能性があるわけです。

だから運動でも読書でもヨガでもピラティスでも食事療法でもサプリでも、あなたの土台に影響する何かはあなたの体調を整えてくれる可能性があるわけです。

1番大切にして欲しいのは、あなたが「自分の健康や人生を少しでも良くしたい」と思えた、その気持ちです。

ですのでストレスはコントロールするものでもなく、ストレスはねじ伏せるものでもありません。
あなたが安心していられるための、身体と心の土台。
そこが変わると、世界の見え方も静かに変わっていきます。

患者さんに教えてもらった、茨木のり子さんの詩がかなり好きだったので一部を抜粋して載せさせていただきます。

『自分の感受性くらい』

ぱさぱさに乾いてゆく心を
人のせいにするな
みずから水やりを怠っておいて

https://www.amazon.co.jp/自分の感受性くらい-岩波現代文庫-文芸368-茨木-のり子/dp/4006023685?tag=googhydr-22&source=dsa&hvcampaign=books&gad_source=1
より

一見冷たいような文章にも感じるかもしれませんが、この文章には
自分のこれまでの身体からのサインを無視していたのに関わらず、自分以外の人に原因を探してしまう人間の思考の癖みたいなものが凝縮されているように感じます。

あなたの身体、心を潤すものはきっと自分の中にあって、自分でもなんとなくそれがわかっていて、それでも他人と比較したり、求めてしまいますがまずは自分を見つめてみようという優しい言葉に感じました。

まさに今回話したような内容をもっと幅を持たせ自由に考えられる素敵な詩の一部だなと思いました。

長くなりましたが、なぜ人はストレスをコントロールできないのか?というタイトルを身体の仕組みから考えました。

ストレスをコントロールするのではなく自分の心を潤す何かや潤そうとするその行為がストレスの見え方が変わっていくかもしれませんね。

最後までお読みいただきありがとうございました!

コメント

タイトルとURLをコピーしました