ストレスと副腎の話〜ストレスと拮抗する身体の反応〜

副腎疲労 体の仕組み

こんにちは!
あまりにも”副腎疲労”という言葉が1人歩きしているように感じてやまない鍼灸師オサダです。

そこで今回は「ストレスと副腎」の話をしてみようかと思います。

ストレスに対する身体の反応として副腎が働く事は間違いないのですが、仕組みを理解する事で解決策は他にもあるのでは?と思っています。
詳しく見ていきましょう!

ストレスに対する副腎の働き

まずは副腎について少し確認していきましょう!
副腎の位置する場所は腎臓の上に傘のように存在しています。(左右1個ずつ)

そしてもう少し細かく見ると”副腎髄質”と”副腎皮質”に分かれています。
副腎髄質は、アドレナリン、ノルアドレナリン、ドーパミンを分泌しています!(合わせてカテコールアミン)
副腎皮質は、数種類のステロイドホルモン男性ホルモンの作用を持つホルモンを分泌しています!

どちらもストレスに対して活躍をしてくれるホルモンを分泌しています!

ストレス反応①交感神経-副腎髄質の反応

この反応は神経による反射のため素早く体に反応を起こします。
驚いた時、想定外の事が起きた時に心臓がバクバクする感覚を感じる事があると思います。
その反応はこの交感神経-副腎髄質の反応によるもので、アドレナリン、ノルアドレナリンによる作用です。

身体で起こる反応としては
・心拍数の上昇
・血圧の上昇
・血糖値の上昇

・消化管活動の抑制
などが起きます。
今俺アドレナリン出てるわ!!状態

副腎髄質のカテコールアミンは交感神経によって調節される事から『交感神経-副腎髄質系』と言います。

ちなみにこの反応はSAM系(軸)の反応と言ったりするみたいです!
英語表記で→Sympathetic-Adrenal-Medullary axis
Sympathetic (交感的なという意味があるらしい)Adrenal(副腎)Medullary(髄質)なのでそのまんまかとは思います!

ストレス反応②視床下部-下垂体-副腎(HPA軸)の反応

HPA軸もストレスに対してよく知られた反応です。
ストレスを受け取ると、言葉の通り、視床下部でそれを受け取り、ホルモンを介して下垂体→副腎と指令が伝わります。

最終的に副腎で分泌されるホルモンは副腎皮質からの
・数種類のステロイドホルモン
・コルチゾール

が分泌されます。

身体で起こる反応としては
・ストレスに対する抵抗力の上昇
・炎症やアレルギーを抑える反応
・糖新生の促進(血糖値の上昇)
などが起きます。

この反応の事を英語の頭文字をとってHPA軸と言います。
Hypothalamic:視床下部 Pituitary:下垂体 Adrenal:副腎 )

このHPA軸には負のフィードバック機構と呼ばれる各種の反応によって分泌されたホルモンを抑制する機構も含まれています。(簡単にいうとホルモンが増えたら分泌を抑制する働き)
コルチゾールの量を脳の海馬(Wikipedia)が監視しています。
こちらにも記載があるように長期的なストレスによって海馬は記憶や空間学習に働きます。
(長期的なストレスによる海馬の萎縮は物忘れを生みます)

ストレスに対してまずは反応の早い交感神経-副腎髄質反応が作用し、それを支えるように視床下部-下垂体-副腎反応(HPA軸)が作用してストレスに対して身体の機能を回転させています。

副腎疲労についてもう一度考える

※考察を含みます。
副腎疲労に関してはお医者さんの中でも「それらの症状を副腎疲労と断定はできない!」「病気ではないものの機能低下は考えられる」というように意見は分かれているように感じます。(インターネット上の検索結果から)

とはいえアメリカでも副腎疲労(症候群)と呼ばれるような状態はあるとされています。
個人的にはストレス社会と呼ばれる現代では副腎にかかる負担が大きくなっている事は考えられますが、厳密にいえばそれで副腎が疲労するかはすごく曖昧なところだと思います。

(唾液、血液中のコルチゾールが増えている=副腎疲労を起こしていると断定できないのではないかと思います)

副腎疲労というよりも日常的に、アドレナリン、ノルアドレナリン、コルチゾールと言ったような”抗ストレスホルモン”の分泌が行われた結果『必要な時に必要な反応がとれない状態』という方が納得がいくように思っています。

日常的なこれらのホルモンの分泌過剰は一言でいえば自律神経のバランスが乱れた状態→交感神経の過剰な働き、副交感神経の機能の低下が考えられます。

副腎疲労を招く生活背景

交感神経-副腎髄質反応、HPA軸の反応になにかしらの異常がある場合に”副腎疲労”と言ったような症状が見られると考えていますが、わかりやすく副腎疲労としてみられる症状を考えてみます。

ストレス社会と呼ばれる現代は『交感神経が優位』になりやすい環境です。
夜更かし、睡眠不足、食生活の乱れ、リアルでの人とのつながりの低下(SNS上の付き合い)、夜でも光の刺激、運動不足‥挙げ出したらきりがありません。

この場合に考えられるのは、日常的に交感神経が興奮している→カテコールアミン(アドレナリン、ノルアドレナリン、ドパミン)やコルチゾールと言ったストレスホルモンの常習的な分泌→本当に必要なタイミングでホルモンが分泌されないor作用していない事が考えられます。

もう少し具体的に話すと
・体内の炎症
・腸内環境の乱れ
・姿勢の崩れ
・体内リズムの乱れ

などが交感神経を優位にさせホルモンが分泌せざるをえない状況にあるという事です。

必要なのは副腎に対するアプローチ(栄養など)だけでなく、副腎が過剰に働かされている環境へのアプローチを忘れてはいけません。


副腎疲労に対してのアプローチは多くが栄養(多くがサプリ)ですが、疲れているからこれでもっと働いてね!😉って感じがします。
サプリを否定したい訳ではなく、栄養がうまく使われる体の機能が十分に働く環境を整えないとその場凌ぎ感は否めないという事です。
ではどうしたらいいかを考えてみましょう。

副腎疲労の背景にある自律神経の働き

交感神経の沈静と副交感神経の働ける環境を見直す事です。
2つの働きはお互いに作用しあっています。1つずつみていきましょう!

交感神経の働く環境

交感神経が働く環境ではカテコールアミンやコルチゾールの分泌が促進されます。
あえていうのであれば交感神経の過剰の働きを抑えなくてはいけません。
交感神経が優位になりやすい環境として
・闘いに臨む時(ストレス環境下へ乗り込む時)
・危険から逃げる時
・高エネルギー消費の時など


交感神経の優位になりやすい環境は一言でいえば”覚醒モード”です!
ドラゴンボールで言えばスーパーサイヤ人状態(闘争)
のびた君で言えばジャイアンから逃げる時(逃走)
そんなイメージです。

ただし交感神経の働きが”悪”という訳ではありません。
長期的な交感神経の興奮はこれまで上げたホルモンの分泌も続いている状態です。

そうなれば本当に必要なタイミングでホルモンが分泌されないor作用していない事が考えられるという訳です。

交感神経による反応はストレスなどの外的な要因だけでなく体の内面の環境によっても反応します。
例えば
・体内で炎症が起きている状態(腸内環境を含む)
・睡眠不足
・食事の偏り

などによっても交感神経を興奮させます。

副交感神経の働く環境

副交感神経と交感神経はバランスが大切です!
安定的な”副交感神経”の働きがあるからこそ交感神経が必要な時に働く事ができます。
副交感神経の働きの基本は
・自分にとって安心・安全な環境
・落ち着く環境
仲間や社会とのつながりのある環境
によって支えられます。

交感神経の過剰に働いてしまうと副交感神経の働きが低下してしまう傾向にあります。
現代では
・ネット上の関係
・在宅勤務
・夜でも光を浴びる環境

・環境の変化
・食生活の偏り

と言ったように動物としての活動が失われかけています。

程よいバランスで交感神経、副交感神経の働きが振れる状態が大切です!

副腎疲労の時に見直したい事

副腎疲労と呼ばれる際に見直したい事を今回は3つ上げていきたいと思います。

体内時計

体内のリズムと自律神経は深い事が知られています。
体内時計をリセットするのに役立つのが”光刺激”です。

以前セロトニンとメラトニンのお話でもまとめていますが光刺激がセロトニンの分泌を促進し、そのセロトニンの分泌量が高まった約12~14時間後に睡眠ホルモンと呼ばれるメラトニンが分泌されます。
詳しくはこちらをご覧ください。

腸内環境

腸内環境が大切な事はいうまでもないかと思います。
副交感神経の約80%を占めると言われている”迷走神経”は脳神経の一つでありながら多くの内臓へと分布されています。

その迷走神経は約80%が求心性の働きです。
求心性というのは各情報を脳に伝えるために働いています。
腸脳相関という言葉があるように腸の環境が脳に伝わります!

腸内炎症があるというのは交感神経が働く環境でもあり、免疫反応、炎症反応が起きる環境でもあります。
そう言った意味でも”腸内環境”を整える事は大切です。

呼吸がしっかりできる体の状態

自律神経との関係も深い呼吸ですが、どうしても浅くなりやすくなってしまっています。
姿勢、運動不足に合わせて交感神経優位のはやくて浅い呼吸が目立ちます。

身近に体を見てくれるプロがいれば良いですが自分でやる場合には背中の筋肉、胸の筋肉、首の筋肉のストレッチをして深い呼吸ができる環境(構造的にも)を作りましょう!

まとめ

そもそもの副腎の働きから簡単なセルフケアについてまとめてみました!

最初にも言ったように副腎疲労が実際にあるかどうかというのは精密に検査しないとわからないと思う中で、言葉だけ1人あるきしていて、大事な事が見失われているように感じています。

考えなおしてみればもっと簡単なところに解決する方法があるかもしれません。
解決策があえて3つしか紹介していないのは人によって解決策が異なるためです🙇‍♂️

体の不調でお困りの際には身近な信頼のできる先生に相談してみてください!
私も都内を中心に活動しています。お近くの方はぜひご相談ください!
Instagramからもご相談お待ちしております!)

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